訪問看護のニーズが増加する中、事業所の廃業率も依然として高い状況が続いています。地域差はあるものの、訪問看護ステーションの廃業率は全業種平均よりもやや高く、看護師不足や利用者さんの獲得が困難なことがその大きな原因とされています。今回は、生き残る訪問看護ステーションになるために必要なポイントを考えてみます。
訪問看護ステーションを運営するためには、まず看護師の確保が欠かせません。しかし、訪問看護事業所の開業要件として「看護師2.5人以上」が求められる中、看護師不足が深刻な課題となっています。特に訪問看護の求人は多く、条件の良い職場へ転職する看護師も少なくありません。そのため、事業所としては、看護師が辞めずに長く働き続けられる環境づくりが重要です。
具体的には、働きやすさを重視した環境整備が求められます。例えば、柔軟な勤務体制や、オンコール対応の工夫、福利厚生の充実などが挙げられます。看護師が安心して働ける環境を提供することで、離職率の低下につながり、事業の安定にも寄与します。
訪問看護ステーションを継続的に運営するためには、利用者さんから選ばれる事業所になる必要があります。しかし、多くの看護師には営業経験がないため、利用者さんを獲得するための営業活動が難しいと感じることが多いです。そこで、利用者さんに選ばれるための工夫として、地域に密着したサービスや、利用者さんのニーズに応じた柔軟な対応が求められます。
地域の医療機関やケアマネジャーとの連携を強化することで、利用者さんの紹介を受けやすくすることも有効です。また、看護師自身が利用者さんとの信頼関係を築き、口コミや評判を通じて新たな利用者さんを増やすことも期待できます。利用者さん一人ひとりに寄り添ったケアを提供することで、満足度を高め、事業の継続を図ることができます。
訪問看護ステーションが生き残るためには、戦略的な取り組みが欠かせません。看護師の確保と働きやすい環境づくり、利用者さんに選ばれるためのサービス提供の工夫に加えて、事業の持続可能性を高めるための計画的な運営が求められます。
訪問看護は、地域社会において重要な役割を果たしているため、看護師と利用者さんの双方にとって魅力的な事業所であり続けることが必要です。スタッフを大切にし、利用者さんに信頼されるケアを提供することで、厳しい市場環境の中でも安定した運営を実現できるでしょう。